当院では麻酔学に積極的に取り組んでいます。

なんと本日、

東京から麻酔専門医の先生を

当院にお招きして、

麻酔の指導をしていただく機会を

設けることができました。

 

より安全な、より動物に負担の少ない麻酔を

提供できるようにしっかり勉強しようと思います。

 

麻酔、と聞だけで

抵抗を感じる方も多いと思います。

そこで今日は

動物に麻酔をかけることについて

僕が考えていることをお伝えします。

 

 

麻酔に対する

不安を少しでも解消するには、

いかにその獣医師を信頼できるか、

信頼して任せることができるか

が大きいと思います。

動物は機械ではなく、

動物に麻酔をかける、ということは

不確定なことなので

「100%大丈夫!」

とは言ってはいけないことです。

しかし、

ペットの健康状態、

麻酔の目的、

得られる結果

によって、麻酔をかけるべきかどうかは

変わります。

さまざまな状況において、

麻酔をかけるリスクとメリットは

全く変わってきます。

それらをひとくくりに考えて、

「麻酔は危険なものだ」

と必要以上に怖がるのではなく、

一緒に検討していけたらと思っています。

 

麻酔をする、

という選択をすることで

ペットとオーナーが

より快適に生活できるようになります。

 

 

そもそも僕が麻酔学に

興味を持つようになったきっかけは、

大学時代に所属した研究室が

「外科学研究室」

だったことです。

外科学研究室では、

大学に併設の動物医療センターにおいて、

外科診療のお手伝いをしていました。

外科に麻酔はつきものです。

手術のときはもちろん、

それ以外にもCT検査、MRI検査、

内視鏡検査、放射線治療などで

頻繁に麻酔をかけます。

人と同様に大学病院には

一般の動物病院では手に負えないような

症例が紹介されてきます。

重い病気にかかっていて状態の悪い子

(ASAステージ3とか4、

ASA分類についてはこちら

抜歯について:全身麻酔編②

や、侵襲の大きい手術(脳外科手術など)

の麻酔にも

数多く立ち会いました。

突発的な事態に対する対処も学びました。

 

どういったときに麻酔事故が起こるのか。

急に心肺停止になることはありません。

その前にどんな兆候があり、

どんな経過を辿って

麻酔事故が起こるのかを

理解・経験できたことが、

僕の麻酔に対する

不安や恐怖心を少なくしてくれています。

 

 

少しでも信頼してもらえるように、

僕の麻酔に対する考え方・思いを

知っていただけたらと思います。

その1.麻酔をかけることで早く痛みや恐怖といった苦痛から解放してあげられる

例えば歯周病あるいは口内炎で

痛みが生じている場合、

抗生剤や痛み止めの薬では

痛みを十分にとってあげることはできないし、

効果も一時的です。

この場合、

麻酔をかけて歯科処置を行うことで

素早く効果的に

痛みをなくしてあげることができます。

また動物は何かの検査や処置をするために

じっと押さえつけられている時、

自分が治療をされているとは

思いません。

何をされているのかわからないので、

不安や恐怖を感じてしまいます。

局所麻酔を使って痛くないとしても、

意識ははっきりしているので

恐怖を感じてしまいます。

麻酔を安全にかけてあげることで、

動物は不安を感じることなく寝ている間に

検査や治療を受けることができます。

なおかつ、麻酔をかけることで

レントゲンやエコーなどの画像診断では

きれいな画像を取ることができ、

診断・治療も的確に行うことができます。

 

その2.麻酔は獣医師にしかできないこと

当然のことですが、

動物医療は獣医師にしかできません。

その中で

嫌がって噛んでくる子の口の中をみたり、

仰向けにして詳しくお腹のエコー検査をしたり、

というのは麻酔をかけられる

獣医師にしかできないことです。

獣医師にしかできないことなので、

しっかり技術を磨こうと思っています。

 

その3.動物に麻酔をかけることに不安が少なく、メリットを知っている

麻酔をかける前に

適切に動物の状態を把握して、

麻酔中は

適切に生体反応をモニタリングして、

周術期管理を適切に行うことをすれば、

麻酔は怖いものではありません。

何かしらの異常を察知した際に

どう対処したらよいか、

それを大学病院で数多く経験・学んできたことが

自信になっています。

「麻酔は動物の負担になるから」

と、数人がかりで痛がる動物を抑え込んで、

人も動物も大変な思いをしながら

治療を行う動物病院もあるようです。

しかし、それは本当に動物のために

なっているのでしょうか?

そもそも麻酔をかけられないような

状態なのでしょうか?

恐怖や興奮は交感神経を優位に働かせ、

血圧が上昇します。

例えば

心臓が悪いから麻酔がかけられない、

という興奮しやすいわんちゃんを

無理やり押さえつけて治療を行った場合、

そちらの方が麻酔をかけて治療を行うよりも

体に負担が大きく危険だと思います。

 

<まとめ>

麻酔をすることで

ペットとオーナーが

快適に生活できるようになる、

ということを知っておいてください。

ペットの健康状態、

麻酔の目的、

得られる結果によって

麻酔をかけるべきかどうかは変わります。

麻酔をひとくくりにして、

必要以上に怖がるのではなく、

一緒に検討していけたらと思っています。

基本的に30分以内に終わるような

簡単な処置や検査では、

麻酔の危険性・体への負担は

ほとんどないと思います。

 

症状が進行して、

状態が悪くなってしまってからでは

麻酔は「イチかバチか」

になってしまいます。

そうなる前に一度ご相談下さいね。