シニア動物シリーズ続きです。今回は褥瘡(じょくそう)治療、いわゆる床ずれについて少し紹介します。

 

そもそも生体を扱う考え方として僕が大事だと思っているのは、

0か1かではない、ということです。

動的平衡と言いますが、例えば「風邪をひく」というのは病原体が体内に入ってきたら

必ずなるわけではありません。

体内に入った病原体の増殖スピードが、生体の免疫反応による病原体の減少を

上回った場合に風邪をひいた状態になります。

褥瘡を含めた創傷治療で考えると、いかに傷の自己治癒力を高めて

悪化因子を少なくするか、ということが大事になります。

褥瘡治療、創傷治療に本当に役立つサイトを紹介します。

東京の「動物病院エル・ファーロ」http://elfaro.d.dooo.jp/

院長の山本剛和先生は動物の創傷治療の第一人者です。

何年も前から執筆、講演も多数行っておられます。

その治療に感動し、6年前に直接山本先生のところを訪問して

直接指導していただきました。

今回、ブログで紹介させていただくことも快諾していただきました。

 

このサイトの中に「褥創治療(床ずれ)について」

http://elfaro.d.dooo.jp/wounds/pressurewound-1.htmという

リンクがあり、非常にわかりやすく紹介してくれています。

8点、治療のポイントを書いてくれています。

除圧に関してはだいぶ認知されていますが、

今まで診療をしてきて他院で治らずやって来る動物を見てきました。

一番おろそかにされているなぁと感じるのは④の毛刈りです。

飼い主さんも、少しでもクッションになればと

傷周囲の毛をあえて残していたりするのですが、

残念ながら逆効果です。

細菌が増殖する足場となり、感染を起こしてしまうため

傷が治りにくいです。

 

褥瘡の症例での写真が見つからなかったのですが、

紹介します。(前職での写真ですが、許可もいただいています)

外に出る1歳のオス猫ちゃんが、

おそらく猫同士のケンカによって前胸部にケガをしました。

そこが化膿し、皮膚が自壊して2×6㎝ほどの

大きな皮膚欠損を生じていました。

まず周囲を広く剃毛し、洗浄します(消毒はしません)。

ここにサイトでも紹介されている

自家製ドレッシング材(当院ではウェット包帯と呼んでいます)を

あて、簡易的な服を着てもらい軽く固定しました。

自宅で1日1回ウェット包帯の交換と抗生物質の服用をしてもらい、

5日後の再診時です。

生命の自己治癒力はすごいなぁと感心します。

老齢犬の褥瘡治療も似たような経過を辿ります。

 

獣医師が「病気を治してやる」、という傲慢な姿勢ではなく

自己治癒力をいかに促すか、

自己治癒をいかに邪魔しないかを常に意識しています。

創傷治療に関してはまたの機会に紹介させていただこうと思います。

 

PS.健診キャンペーンでは「自己治癒力の増加と阻害因子の減少」の

観点から、かかりつけ医とは違った提案もさせてもらっています。

詳しくはこちらから→初めまして健康診断キャンペーン2017.2.28まで(終了しました)