医療技術の発展により、獣医療でも色んな病気がわかるようになってきています。CT検査によってレントゲン検査よりも早い時期にごく初期の腫瘍病変が見つけられたり、MRI検査によって脳腫瘍や脳梗塞(かつては犬猫ではほとんど起こらないと言われていましたが、発症することがわかりました)も診断できるようになっています。CT検査やMRI検査は専門病院で基本的に全身麻酔をかけないと行うことはできず、費用も5万円~10万円程度と高額になります。

他に近年、犬で発見されることが多くなっているのが「胆嚢」の病気です。胆嚢はお腹の肝臓の間にあり、胆汁という消化酵素を貯めている袋です。今回は当院でもすぐにチェックできる胆嚢の病気について書いていきます。

 

胆嚢を一度チェックしておくことで、手遅れにならずに済みます。

犬で胆嚢の病気が多く発生しますが、初期に見つけるにはエコー(超音波)検査を行わないといけません。

 

過去の症例です。10歳、トイプードル、避妊メスのココちゃんは小さいころから小食で、4.5歳の頃からは週に1回はお腹がキュルキュル鳴り痛がる仕草がありました。動物病院で何度も行った血液検査には毎回異常はなく、前医では「お腹が弱い子だから気を付けましょうねー」と言われるだけでした。手作り食をしたりサプリメントを飲んだりしましたが改善はありません。小食でしたが体重減少はなく、普段は元気もあったため健康と言えば健康だと思われる状態でした。私が診察した結果、胆嚢に問題があることがわかり、内科療法に反応しないため胆嚢切除手術を行った結果、それまで長年悩まされていたお腹キュルキュルはなくなり、食欲も旺盛になりました。それまでの健康と言えば健康という状態から生活の質が上がり、本人もご家族も満足いく生活を送れるようになりました。

 

胆嚢の病気のポイントは3つあります。

1つ目は、末期にならないと血液検査では異常がわかりません。血液検査で異常が分かった時点では手遅れの状態か、あるいは緊急手術が必要になりますが、その場合死亡率は25%(肝臓専門医でのデータ)と手術成績は悪いです。しかし、エコー検査を行うことで胆嚢に異常があるかどうかすぐに判断することができます。当院で行う健康診断では胆嚢をエコー検査でチェックしています。

2つ目は、胆嚢が悪いとこんな症状が出る、といったことはないため(症状は非特異的)、症状から胆嚢に病気があることは特定できません。胆嚢には胆泥症、胆石症、胆嚢粘液嚢腫(ねんえきのうしゅ)、胆嚢腫瘍などが発生します。胆嚢に上記の何らかの異常があり、胆汁が流れなくなって黄疸を呈したり、胆嚢が破裂して胆汁性腹膜炎を起こしたりすると、急に元気がなくなってぐったりしたり、何度も嘔吐したり、食欲がなくなったりします。この時点で気づいて動物病院に来院すると、数日で亡くなってしまったりと治療成績は良くありません。

3つ目は、胆嚢の病気は中齢~高齢で発生が多く、明らかな原因は不明であり、生活習慣など関係なくどの犬種にも発生し得る、いわば体質のようなものです。しかし、好発犬種としてシェットランド・シープ・ドッグコッカー・スパニエルミニチュア・シュナウザーなどで多いとする報告があります。これらの犬種で7歳以上の子は一度、胆嚢のエコー検査を受けることを強く推奨します。

 

中齢以上の犬には胆嚢に異常があることが多く、血液検査ではわからないため、エコー検査を受けることが必要です。

一度検査を受けておくことで、手遅れになる前に発見・対処することができます。

 

全ての胆嚢の異常で治療が必要になるわけではありません。7歳以上の犬で胆嚢のエコー検査を受けたことがなければ、エコー検査を受けておきましょう。

当院では診察料(初診料¥1,200- or再診料¥700-)とエコー検査代(胆嚢のみ)¥1,500-で行っております。お気軽にご相談下さい。