先日、6年目の結婚記念日にサプライズで妻をディナーに連れて行くことができました。実はサプライズをするのは6年目にして初でしたが、サプライズって行うタイミングが重要ですよね。ディナーに行こうと言うのが早すぎるとサプライズのビックリ感がなくなってしまうし、当日の直前とか言うのが遅すぎると「夕食作ってたのに!」ってなってしまいます。今回は前日の夜に伝えたことで上手くいきました( ;∀;)

病気の治療もタイミングが重要です。早期発見早期治療が良いのは浸透していると思います。病気が進行してからではしんどい思いをしてしまうし、治療成績も悪くなることが多いです。その中でも今回は当院で実施可能な「胆嚢切除手術」、そのタイミングについて書いていきます。

 

手術適応で経過観察していたわんちゃんが適切なタイミングで手術を受けることで、安全に手術を受けてもらうことができます。

人でも胆石症で胆嚢切除手術を受けることが多く、犬でも胆石症、重度の胆泥症などで胆嚢切除手術が必要になることがあります。胆嚢切除術の適応になるもので、頻度の多いものに「胆嚢粘液嚢腫(たんのうねんえきのうしゅ)」という病気があります。明らかに症状が出てからの手術になると、手術成績が良くないことが知られています。

 

胆嚢粘液嚢腫の手術を適切なタイミングで受けてもらうのは3つの理由があります。

1.進行性の病気であり、薬などの内科療法はあまり効果が期待できません。胆嚢内は本来胆汁というさらさらの液体が入っているのですが、この病気では粘液の過剰分泌が生じることでドロッとしたゼラチン様粘液が溜まってきてしまいます。この粘液が胆嚢の出口に詰まると閉塞性黄疸となり、詰まらなくても胆嚢内に充満・拡張してくると胆嚢動脈を圧迫し胆嚢壁に血液が行かなくなって胆嚢壁が壊死して胆嚢破裂を起こしてしまいます。現在のところこの病気の明らかな原因は不明です。診断には腹部エコー検査を実施します(診断についてはこちら)。投薬によりエコー検査の画像所見に改善がない、または進行が認められれば無症状の内に胆嚢を切除することが推奨されています。

2.閉塞性黄疸や胆嚢破裂を起こすと緊急手術が必要になりますが、その場合の手術成績は良くないです。まず胆汁が流れていく総胆管が閉塞していて、その閉塞が解除できない場合、手術方法が大きく変わります。胆嚢破裂があると胆汁性腹膜炎を起こしてしまい本人の状態がさらに悪くなるし、胆嚢が周りの組織との癒着を起こすため手術が難しくなります。手術が無事に終わったとしても、術後合併症を引き起こす危険性が高いです。

3.嘔吐や食欲不振などの症状がない状態(ほんとは何らかのサインを発していることは多いそうです)で手術を行うと、癒着なども少ないため手技も容易になり、安全性が高いです。さらに手術・麻酔のリスクを下げて、予防的に安全に行うなら若いうちに、遅くても10-12歳までに手術を受けてもらうことをオススメします。

 

胆嚢粘液嚢腫の治療には手術が必要であり、明らかな症状の出ないうちに手術を行うことで安全性を高めることができます。胆嚢摘出術を受けた子の経過はこちら

胆嚢粘液嚢腫だと分かっているけど経過観察している子は、症状が出てから慌てて病院に駆け込む前に手術を検討してみませんか?

 

待っているのでは適切なタイミングを逃してしまうかもしれません。症状が進んでいる子では専門病院を紹介することがありますが、症状がない子では当院で治療・手術が可能です。一度ご相談下さい。