変形性関節症(AO)では、重症度によって治療の目標が変わってきます。

初期のAOであれば歩行を正常に戻すこと、再発させないことが治療目標となります。

治療編その1>で書いたようにダイエットと関節炎のケアを行い、機能改善を図ります。

 

一方、症状が進行して歩けなくなった寝たきりの状態からは自由に歩き回ることは難しく、

寝たきりにならないことが治療目標になります。

寝たきりになってしまうと筋肉の萎縮が進んでしまい、

床ずれもできやすくなってしまいます。

お勧めしたいのは完全に歩けなくなる前からの早めの「車いす」の使用です。

わんちゃんにも車いすがあります。

車いすは動けなくなってから使うのではなく、

動けなくなる前に使うことでリハビリにも使えます。

ダックスフンドなど椎間板ヘルニアで後ろ足が完全に麻痺してしまった子に

使われることが多いですが、

シニア犬、特に中型から大型犬にとても有用だと思います。

 

 

シニア犬で多いAOでは後ろ足から弱ることが多いので、

前足は比較的よく動きます。

車いすを後ろ足にはかせると活発に動くようになり、活力がでてきます。

歩けるので本人もうれしそうです。

QOL(生活の質)が上がっていると感じることができます。

 

黒ラブ、避妊メスのハイジちゃんも車いすは全く検討していませんでした。

大型犬の寿命は12-3年と言われている中で、15歳1か月ととても長生きです。

それだけ大事にされてきたのがわかります。

当院に来院する3か月前から後ろ足が弱ってきたなぁと感じていました。

来院1か月前になると急に悪化スピードが早くなり、

来院時には後肢も突っ張ってしまいほとんど歩けない状態でした。

痩せたものの体重も27kgあり、抱き上げるのも大変です。

当院で実施可能な検査を行い、一般的な抗炎症剤を使用して反応をみてみましたが

著しい改善はありませんでした。

後肢が突っ張る原因は何らかの脊髄病変もしくは老化現象が疑われました。

現時点での確定診断にはMRI検査が必要です。

飼い主さんと相談した結果、本人がしんどくないようにこのままみていくことになりました。

そこで原因が何であったとしても、今の状況を改善するために車いすを提案しました。

 

以下、飼い主さんのコメントです。

「先生に車イスの事をいわれなかったら全く考えていませんでした。

あって良かったです。大活躍です。

重くて抱っこもできないので、

車イスに乗せたままご飯、乗せたままうんちと

あるととても便利です。」

 

 

こんな選択肢もある、ということで紹介させてもらいました。

いきなり購入ではなく、レンタルや老犬サークル内での貸し借りもあるみたいです。

気になる方は相談してみて下さい。