当院では2017年9月から立て続けに何頭もの子猫ちゃんをFIP(猫伝染性腹膜炎)で、治療の甲斐なく亡くしました。こんなに頻発したのは初めての経験です。

FIPは腸コロナウィルスが猫の体内で猫伝染性腹膜炎ウィルスに突然変異することによって発症するとされており、FIPを発症するかどうかは運次第とも言えます。致死率はほぼ100%であり、知り合いの獣医師に聞いても治癒した子は聞いたことがありません。

そんな中、飼い主さんづてにFIPの猫に僕の知らない治療をしている先生を教えていただきました。さらにその先生からFIPの研究をされている日本獣医生命科学大学の田中教授をご紹介していただきました。

 

「FIPが不治の病ではなく治療できるものだという世の中にしたいと考えています.」

メールでのやり取りの中で、FIPに心を痛めている多くの飼い主さんを勇気づけてくれる発言をしてくれました。

既に数千の症例を受け持っていますので,コピー数と生化学データを見れば,ある程度の予後は,推察できます.

他の病院の先生方にもご協力願えればありがたく思いますので,獣医師会や勉強会の時にお伝え願えれば幸いです.

 

高用量で使用するというプロトコールは,開示していただいて問題ありません.

また,治療のプロトコール自体,ネコによってケース・バイケースですので,皆様方で情報共有していただければ,幸いです.

ですので,Facebookでお伝えしようが,いかなる手段で,広められてもこちらにとって,損害を被ることはないです.

手持ちの専門書やインターネット上に詳細な治療プロトコルが載っていないため、情報公開についてお聞きした所、上記のコメントをいただきました。許可を得ましたので、情報公開させていただきます。

 

ご存知の獣医師も多いかもしれませんが、僕のように知らない獣医師もいると思います。

情報公開することでFIPに苦しんでいる子たちの治療や、さらにデータが集まることでFIPの研究の力になれば幸いです。

 

〇治療プロトコル

・治療開始前に血液検査(猫SAA:猫血清アミロイドA、A/G比:アルブミングロブリン比)、末梢血(EDTA全血)±腹水・胸水のコロナウィルスのコピー数(日獣大でも可能、要問合せ)をみておく。

シクロスポリン 20mg/kg 1日1回投与でスタート(通常量の約3倍量!副作用が出たことはなく、メーカーも安全性には問題ないと示しているそうです)。最大25mg/kgまで増量可能。

1週間後に治療開始前と同様にコロナウィルスのコピー数を検査。

減っているようなら投与量を半減して継続。

・腹水・腹水消失後はSAAA/G比末梢血中のウィルスのコピー数etcで治療効果をモニターする。

・必要に応じて対症療法を行う(下痢、貧血など)

・最初は1週間に1度の割合で検診を行う

 

*注意点

・研究段階の治療法であり、治療効果を保証するものではありません。しかし、現時点では治療効果が最も望める治療法だと思います。

・すべての症例に著効するわけではなく、その原因はおそらくウィルス株によって差が出るのだろうと推察されています。

・病院によって変わりますが、検査・治療の費用は高額になってきます。主治医とよく相談されてください。

 

飼い主さんでも獣医師でも、詳しく知りたい方はFacebookから僕あてにメッセージをお願いします。

(FIPに詳しいわけではありませんが・・ここには書けていないこともお伝えできるかと思います)

さくらペットクリニック 佐々木雄祐

もしくは日本獣医生命科学大学 獣医衛生学研究室までお問い合わせ下さい。

 

日本獣医生命科学大学

獣医学部獣医学科

疾病予防獣医学部門

衛生・公衆衛生学分野

田中 良和教授→研究者情報はこちら

 

シクロスポリンの高用量投与が、治療の選択肢の一つとして、飼い主さん、獣医師の間で広まってもらえたらと思います。