コラム
再稿:FIPを治療できるものに!(治療プロトコル掲載)
**2023.8月に千葉県ユーミー動物病院の佐瀬先生がFIPに対するモルヌピラビルの症例報告を論文で発表してくれています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37551843/
当院でも取り扱いしており、猫ちゃんの状態、飼い主さんの状況を考慮したうえで相談して使用しています。
*2019.10月からFIPの治療にはMUTIAN(商品名:Xraphconn)を用いています。
→FIP治療の報告をしてきました
MUTIANの処方には猫ちゃんの来院が必須(代理の方が連れてきても大丈夫)です。
予約がなくても順番で診察可能ですが、
来院前に一度お電話ください。
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2018年8月に広島県獣医学術学会で
FIPの治療成績について研究発表を行いました。
遅れていますが、その内容も後日
アップできたらと思っています。
全国からたくさんの問い合わせをいただいています。
治療開始が少しでも早い方が効果が期待できますので、
気になる方はお気軽にご連絡下さい。
メッセージの確認は数日送れることもありますので、
お急ぎの場合、お電話下さい。
休診時間でも留守番電話にメッセージを残して
もらえれば折り返しご連絡します。
Facebook→さくらペットクリニック 佐々木雄祐
082-434-9177(さくらペットクリニック)
2017.12.1 掲載
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当院では2017年9月から立て続けに
何頭もの子猫ちゃんをFIP(猫伝染性腹膜炎)で、
治療の甲斐なく亡くしました。
こんなに頻発したのは初めての経験です。
FIPは腸コロナウィルスが猫の体内で
猫伝染性腹膜炎ウィルスに突然変異することによって
発症するとされており、
FIPを発症するかどうかは運次第とも言えます。
致死率はほぼ100%であり、
知り合いの獣医師に聞いても治癒した子は
聞いたことがありません。
そんな中、飼い主さんづてにFIPの猫に
僕の知らない治療をしている先生
を教えていただきました。
さらにその先生からFIPの研究をされている
日本獣医生命科学大学の田中教授
をご紹介していただきました。
「FIPが不治の病ではなく治療できるものだ
という世の中にしたいと考えています.」
メールでのやり取りの中で、
FIPに心を痛めている多くの飼い主さんを
勇気づけてくれる発言をしてくれました。
既に数千の症例を受け持っていますので,
コピー数と生化学データを見れば,
ある程度の予後は,推察できます.
他の病院の先生方にも
ご協力願えればありがたく思いますので,
獣医師会や勉強会の時にお伝え願えれば幸いです.
高用量で使用するというプロトコールは,
開示していただいて問題ありません.
また,治療のプロトコール自体,
ネコによってケース・バイケースですので,
皆様方で情報共有していただければ,幸いです.
ですので,
Facebookでお伝えしようが,
いかなる手段で,広められても
こちらにとって,損害を被ることはないです.
手持ちの専門書やインターネット上に
詳細な治療プロトコルが載っていないため、
情報公開についてお聞きした所、
上記のコメントをいただきました。
許可を得ましたので、
情報公開させていただきます。
ご存知の獣医師も多いかもしれませんが、
僕のように知らない獣医師もいると思います。
(2018.10.24 追記 知らない獣医師がほとんどでした
2018.8月に行われた第3回ウイルス病研究会で
石田卓夫先生も高齢猫のFIPにはインターフェロンも有効だが、
それ以外にはシクロスポリン療法を勧めておられたそうです)
情報公開することで
FIPに苦しんでいる子たちの治療や、
さらにデータが集まることで
FIPの研究の力になれば幸いです。
〇治療プロトコル
・治療開始前に
血液検査(猫SAA:猫血清アミロイドA、A/G比:アルブミングロブリン比)、
末梢血(EDTA全血)±腹水・胸水の
コロナウィルスのコピー数(日獣大でも可能、要問合せ)
(2018.10.24 追記 定量RT-PCR法による遺伝子検査のことです)
をみておく。
・シクロスポリン 20mg/kg 1日1回投与でスタート
(通常量の約3倍量!副作用が出たことはなく、
メーカーも安全性には問題ない、と示しているそうです)。
最大25mg/kgまで増量可能。
☆ステロイド剤との併用はしない。
免疫抑制が強く出すぎてしまい、他の感染症にかかる危険性が高くなるため。
・1週間後に治療開始前と同様に
コロナウィルスのコピー数を検査。
減っているようなら投与量を半減して継続。
(2018.10.24 追記 SAAとウィルスコピー数が
正常域に達したことを確認してから
半減しています)
・腹水・腹水消失後は
SAAとA/G比、
末梢血中のウィルスのコピー数etcで
治療効果をモニターする。
・必要に応じて対症療法を行う(下痢、貧血など)
(2018.10.24 追記 これが重要だと考えています!)
・最初は1週間に1度の割合で検診を行う
(2018.10.24 追記 良化してきたら
2週に1回、1ヶ月に1回と
検診の間隔を伸ばすことは可能です)
*注意点
・研究段階の治療法であり、
治療効果を保証するものではありません。
しかし、現時点では
治療効果が最も望める治療法
だと思います。
・すべての症例に著効するわけではなく、
その原因はおそらくウィルス株
によって差が出るのだろうと推察されています。
・病院によって変わりますが、
検査・治療の費用は高額になってきます。
主治医とよく相談されてください。
飼い主さんでも獣医師でも、
詳しく知りたい方はFacebookから
僕あてにメッセージをお願いします。
(FIPに詳しいわけではありませんが・・
ここには書けていないこともお伝えできるかと思います)
(2018.10.24 追記
実際に治療するのは主治医の先生
との配慮から、大学への直接の問い合わせは
獣医師からお願いしているそうです)
日本獣医生命科学大学
獣医学部獣医学科
疾病予防獣医学部門
衛生・公衆衛生学分野
田中 良和教授→研究者情報はこちら
シクロスポリンの高用量投与が、
治療の選択肢の一つとして、
飼い主さん、獣医師の間で
広まってもらえたらと思います。